夜の野原のピアノ




〈昨夜、わたしの心の中に浮かんだこと〉


夜の野原で 虫と一緒に

ポーン ポーン ポーーーン


夜の浜辺で 波と一緒に

ポーン ポーン ポーーーン



夜の野原で 虫の音にまぎれながら


夜の浜辺で 波に応えながら


夜の空の  星のまたたきを

閉じた目の奥で 感じとりながら


ぼんやりとピアノを調律したい





なぜだか夜のゆたかな世界が 

心のなかに
じわじわと しずかに

広がりつづけました




そしてさらにこんな思いが

ゆっくり、しずかに

浮かんできました…



"鍵盤を叩くリズムは

モールス信号になっているのさ..."




"信号の意味を解くには

虫の音に

波のリズムに

星の輝きに

意識を合わせなくては"



"彼らこそが

わたしのモールス信号の翻訳者



自分が
なんのモールス信号を打ってるのか

知りたければ


彼らの翻訳に耳を澄ましなさい…"





 <初夏のコトリ花店さんの庭の眺め>


ざわざわ・・・

風が吹き
 
熟れたジューンベリーが風に揺れる

葉も揺れる



 暑い日差しの昼下がり


蟻が大きな花びらを持って

葉っぱの螺旋階段を降りてゆく



風に植物が揺れるのを

ひととき ただただ

見つめるだけで

自分の中の 何かが

調律されていきました



ジューンベリーの枝が
風に揺れるのを見つめて

ちいさな 蟻が
大きな花びらを運ぶのを見つめて


なるほどと思ったのです


夜の野原と

夜の海辺と

夜のピアノが

わたしに

何をいざなってくれていたのか



ゆったりと

大切なmessageを届けてくれていたのです…




”自分の心臓の音を聞いてごらん

自分の呼吸のリズムを感じてごらん

感じなさい

感じなさい”

と。


最近そうしたことが

全然できていなかったから

誘いに来てくれたのでしょう。


夜の自然の世界の気配と
ピアノの音色をつかって―




内なる自然と外の自然は繋がっている。



 繋がっている。






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